学生時代は主に女性像をモチーフに、社会の中の女性の業や求められる役割、愛情表現のスタイルなどをアイロニカルに描くことによって、
女性性という虚像と現実が織りなす社会的なアイコンを表出することを意図して制作をしていた。
しかし、その後社会人としての生活が日常となっていくにつれて、良くも悪くも自分自身がその社会的アイコンの中に取り込まれたような気がし、
他人事に思い入れを持つような客観的視点を維持できなくなっていることに気付いた。
であればいっそのこと、どっぷりとアイコンとして浸っている中から見える世界を描いてみようと思うようになった。
日々の理不尽かとも思える時間や立場に追い立てられ、伝統的社会概念によるリア充要求的なものに責め苛まれる中で、
現在の社会に生きるものとして悶々と実感している「キラキラとくすんでいる」ような世界観。
それらをフィルターから眺めるような感覚を表現したい思っている。
松山彩実